2023.01.28
抜け毛

産後の抜け毛(分娩後脱毛症)の原因と対策とは?

女性の薄毛が発症しやすい時期の一つに、産後があります。
出産直後から1年間程度の時期は分娩後脱毛症といい、髪が抜けやすい時期だからです。一時的な脱毛であるケースが多いとはいえ、脱毛の期間が長くなればなるほど不安も大きくなることでしょう。

今回は、産後の薄毛の原因と有効な対策について案内いたします。産後の脱毛にはホルモンバランスが大きく影響しているのですが、原因と対策を把握することで、漠然とした不安を解消して有効な対策を進めていただけるものと思います。

目次

1、 産後の抜け毛に悩む女性増加中
2、 出産後に薄毛になる原因とは
3、 産後の薄毛に有効な対策
4、 まとめ

1、産後の抜け毛に悩む女性増加中

妊娠、出産を通じて、新しくママとなる女性の体や心には劇的な変化が起こります。
そして、その変化の一つに「抜け毛が増える」という症状があります。

アンケートの結果などを紹介しながら、産後の女性と薄毛の関連について紹介します。

産後の抜け毛に悩む女性の割合=74%

ベビー用品の製造や販売などを行っているコンビ株式会社が2012年9月、591名のママさんを対象に「妊娠・出産時期の抜け毛」についてのアンケート調査をしました。

アンケート結果によると、「妊娠・出産時期に「抜け毛」が増えた」方の割合は74%となっています。だいたい4人のうち3人くらいが急に抜け毛が増えて悩んだり、戸惑ったりされていることが分かります。

産後の抜け毛は、専門的には「分娩後脱毛症」といいます。
その切実な悩みは、Twitterでも以下の通り・・・

引用元

https://twitter.com/mee86569255/status/1115283306340278273

https://twitter.com/kazukiayana0414/status/1115370802017263616

https://twitter.com/4zGPqDshS9vEONJ/status/1112334300718882817

産後の抜け毛の多くは1年~1年半くらいでおさまるが必ず改善するわけではない

産後の抜け毛は、1年~1年半くらいで自然に収まるといわれています。中には、それよりも早く半年以内程度に抜け毛が改善している方も。

大量に髪が抜けてしまうのはとてもショッキングなことですし、元々髪の少ない方にはこの時期ウィッグや帽子を使って何とか薄毛をごまかそうと苦労される方もいらっしゃいますが、自然に回復するってわかればだいぶ安心ですよね。

しかし、中には産後の抜け毛がなかなか改善せずにそのまま薄毛に進行してしまうケースもあり、「産後の抜け毛=一時的なもの」とは言い切れないんです。

2、出産後に薄毛になる原因とは

分娩後脱毛症(産後の抜け毛)は、どうして起こるのでしょうか?
その原因を3点紹介します。

最大の原因は女性ホルモンの急激な変化

産後の抜け毛の最大の原因は女性ホルモンの急激な変化です。

妊娠中は出産の準備や胎内の赤ちゃんを元気に育てるために女性ホルモンのエストロゲンが増えますが、出産を機にエストロゲンが一気に減少します。

女性ホルモンと抜け毛との関係を、表にまとめると以下のようになります。

時期 女性ホルモン(エストロゲン) ヘアサイクル
妊娠中 増加 エストロゲン増加により、「成長期」が長くなり、抜け毛が減る
産後 急激な減少 エストロゲンの急激な減少により、多くの髪が「休止期」に入り、髪が一気に抜け落ちる

ヘアサイクルとは、髪が生えてから抜け落ちるまでの寿命のサイクルのことをいいます。
ヘアサイクルには、成長期(新しく髪が生まれ、太く長く育つ期間)→移行期(髪が退縮し、休止期に入る準備をする期間)→休止期(髪の成長が止まり、抜け落ちる期間)の段階があります。人によってヘアサイクは異なりますが、3~6年程度の周期です。

女性ホルモンのエストロゲンには、ヘアサイクルの周期を整え、成長期を長くしてくれる働きがあります。ですので、エストロゲンが増加する妊娠中は抜け毛が少なくなり、産後のエストロゲン減少に伴って一気に髪が抜け落ちるということになります。

急激に減少したエストロゲンの量が元通りに回復する期間についても人それぞれで、3~4か月程度で戻る方もいれば1年以上かかる方もみえます。確認方法としては、生理の再開が分かりやすい目安です。

参考
https://www.35labo.com/entry/2017/01/13/160021

ストレス

出産後は慣れない育児や急激なホルモンバランスの変化に伴う体調の変化、生活習慣の変化などにより大きなストレスがかかります。

公益社団法人日本産婦人科会が発表している「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル」によれば、産後うつを発症する人の割合は10~15%。7人に1人もの割合です。産後うつを発症していなくとも、産後の時期に大きなストレスがかかることは言うまでもなく、ほぼ全ての女性が大きなストレスと向き合う時期であるといえます。

そして、ストレスは健康な髪を育てる環境の大敵です。薄毛の原因ともなる以下の症状の原因となるからです。

  • ホルモンバランスの悪化
  • 血流の悪化
  • 免疫力低下による頭皮環境の悪化

また、ストレスが長く続くとホルモンバランスが改善しなかったり、ホルモンバランスが改善しても薄毛が改善されなかったりするケースもあります。

参考
https://www.news-postseven.com/archives/20181012_781519.html

血流の悪化

上述のホルモンバランスの変化やストレスに加えて、育児による睡眠不足や母乳によって母乳に血液を取られてしまうことなどから、産後は血流が悪くなってしまいます。

髪や頭皮に栄養分を届けるには、血液の質と血流が重要な役割を果たすので、血流の悪化は脱毛や薄毛の原因になってしまいます。

3、出産後の薄毛に有効な対策

出産後の薄毛については、「一時的なもの」として特にケアをしない方も少なくありません。しかし、まれに分娩後脱毛症をきっかけに薄毛になってしまう女性もいます。

海外の例ですが、米国皮膚学会(AAD)認定皮膚科医のJessica J. Krant氏は出産後1年以上脱毛が改善しない場合、専門医を受診するようにアドバイスしています。

具体的に、どのような対策がとれるかについて紹介します。

サプリメントの使用

産後に髪が抜ける最大の原因はホルモンバランスの変化だと考えられていますので、ホルモンバランスを整えるサプリメントを利用するのは有効な方法です。

ホルモンバランスを整える効果が期待できる成分としては、大豆イソフラボンやコラーゲン、マカなどがあります。中でも、大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをする栄養素として有名です。さらに、これらの成分を配合した女性薄毛対策サプリメントもおすすめです。

女性ホルモンのエストロゲンには、精神状態を落ち着けてくれる作用や血流を改善する作用もあるため、産後の抜け毛の原因を幅広くカバーできる点が大きなメリットです。

日ごろの食事でホルモンバランスを意識することも重要(特に豆腐や納豆など大豆由来のものを多く摂ること)ですが、多忙な時期なのでケアはできるだけ手軽に行いたいもの。手軽さという点でも、サプリメントは最適の対策の一つです。

刺激の低いヘアケア用品の使用

産後に抜け毛が気になるようになると、抜け毛に悩みさらにストレスが増大する方も少なくありません。
髪がボリュームダウンしてしまったり、つむじが目立つようになるとなおさら外出して人前に出るのが不安になったりストレスになったりすることもあります。

こうした悪循環をストップさせ、できるだけ頭皮の環境を悪化させないために、使用するシャンプーを刺激の低いものに変更するのも効果的です。

低刺激のシャンプーにはいろいろありますが、おすすめはアミノ酸シャンプーです。こちらの記事にて、アミノ酸シャンプーについて詳しく紹介しています。

ストレス発散(ストレスケア)

直接的な薄毛対策ではありませんが、ストレスの発散(ケア)も非常に重要です。

重いストレスがかかった状態が長引いてしまうと、薄毛を招いてしまうだけではなく児童虐待や精神疾患などにもつながる可能性が指摘されています。

慣れない育児の中でストレスの発散やケアは難しいものですが、家族や友人の協力を得ながらうまくストレスと向き合っていくことが大切です。家事や育児の分担、夫婦や友人との会話、休養など、少しでもストレス発散に結び付く行動を心掛けてください。

4、まとめ


20代や30代の女性でも、産後は一気に多くの髪が抜けてしまう方が多い時期です。
一時的な脱毛で済むケースが多い物の、ストレスや血流の悪化などにより、長期間にわたって改善しないケースもあります。そういった状況にならないためには早めに対策を進めていくことをおすすめします。

米国皮膚学会認定皮膚科医のJessica J. Krant氏はその目安として「1年以上回復しない場合」としていますが、今回紹介しているサプリメントやヘアケア用品の変更などの対策は、不安を感じられたらすぐに始めても問題ありません。逆に早く始めていただくことで、スムーズにホルモンバランスを整えて、ツヤ・ハリ・ボリュームのある美しい髪を取り戻す頭皮環境をいち早く整えることができるようになります。

精神的にも肉体的にもとにかく負担の大きな時期かと思いますので、心身をいたわりながら負担の少ないところから対策を進めてみてはいかがでしょうか?