- 2018.06.04
- 抜け毛
女性の髪の毛が抜ける原因は病気のサインかもしれない!
鏡をのぞきこんで髪の毛のボリュームが急激に減少しているのに気づいた、髪を洗う際の抜け毛が多くなり、不安にかられている――こういった女性は、ご注意ください。
年齢によって抜け毛は多少増加するものですが、急激な脱毛は、病気のサインかもしれません。こちらでは、病気を原因とした脱毛について、その種類や症状などと併せて詳しくご説明していきます。
「女性の一般的な抜け毛と病気を伴った抜け毛の違い」
髪の毛には、ヘアサイクルと言われる周期があります。1本の髪の毛が成長し始めてから抜け落ちるまでの期間のことで、平均して約4~6年。髪の毛1本1本がこのサイクルで抜け落ちるため、1日に90本ほどの抜け毛があるのが自然な現象です。
抜け毛の毛根に膨らみがあり、太さが均一であれば、正常なサイクルにある「抜け毛」だと言えるでしょう。
女性の髪の毛は、ホルモンバランスの影響を大きく受けます。また、加齢にともなって髪の毛も老化し、細くなって抜けやすくなります。
しかし、過度なダイエットや不規則な食生活、髪の原料となるタンパク質不足、ストレス、生活習慣、過度なストレス――こうしたさまざまな要因がからみあうと、若い世代でも、薄毛や抜け毛といった症状を発症するようになります。
通常の「抜け毛」と異なり、その量がおびただしいものだったり、部分的なものであったり、細くなっている場合、毛根に膨らみがない場合は、何らかの病気が原因となっているかもしれません。
加齢や生活習慣病以外の理由で大量に髪の毛が抜ける場合は、これを「脱毛症」と呼びます。医学的には病気ととらえないケースもありますが、脱毛症の中には、医学的な治療が可能なものもあります。抜け毛の量や併発する症状を見て、単なる「抜け毛」なのか、「脱毛症」なのかを見極めていくことが重要です。
「女性の抜け毛を引き起こす7つの病気」
女性の抜け毛を引き起こす病気として挙げられるものは、主に7つ。ここでは、その原因や症状を詳しく見ていきましょう。
円形脱毛症
かつて、円形脱毛症の原因はストレスやアトピーだとされていましたが、現在では、自己免疫疾患の一種として捉えられるようになっています。ウイルスや異物から自身の身体を守ろうとする働きが「自己免疫」ですが、円形脱毛症は、その働きが何らかのきっかけで自身の毛根を敵と勘違いしてしまうというもの。
自己免疫が毛根を攻撃し、髪の毛が抜けてしまっているのです。円形脱毛症が疑われる場合は、皮膚科や膠原病内科を受診してみましょう。
脂漏性皮膚炎
抜け毛の増加と同時に、頭皮が油っぽくなったりフケが増えたり、かゆみがある場合は、脂漏性皮膚炎かもしれません。
脂分の多い食事や間違ったヘアケアなどで過剰に分泌された皮脂が頭皮に残ると、そこにこびりついた汚れが原因で、細菌(マラセチア菌)が繁殖することに。そこで頭皮が炎症を起こし、髪の毛が抜けてしまうのです。皮膚科の受診に加えて、ヘアケアの間違いを正したり、ストレスを軽減させたりするといった処置が必要になります。
頭部白癬
頭皮に白癬菌(水虫の原因菌)が付着し、感染することで、白や黄色、血が固まったようなかさぶたができ、そのかさぶたに抜け毛が生じるのが、頭部白癬です。
サラサラしたフケが発生したり、強いかゆみを生じたりすることもあります。早期に皮膚科を受診すれば、早めの回復が期待できます。
膠原病(全身性エリテマトーデス)
膠原病は、関節痛や発熱、吐き気、リンパ腫脹などの他に、脱毛の症状が現れる疾患です。免疫バランスが崩れることをきっかけに発症しますが、その割合は、女性が全体の9割。
その中でも、20代の女性が約4割を占めるもので、難病認定を受けていますが、その原因はいまだはっきり解明されていません。頬の両側に羽を開いた蝶のような赤い発疹ができるのは、膠原病の特徴のひとつ。脱毛と同時にこれらの症状があれば、膠原病内科を受診してください。
甲状腺機能の異常(バセドウ病、橋本病など)
身体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌しているのが、喉仏の下にある、甲状腺です。
この甲状腺に問題が起こり、甲状腺ホルモンが大量に分泌されたり、その反対に分泌されなかったりすると、抜け毛の症状を発症することがあります。髪が成長しきる前に抜けたり、次に生えるまでの時間がかかったりするからです。甲状腺疾患が出る割合は女性の方が多く、原因もはっきりしてはいません。
手足のむくみや体重減少、発汗、眼球突出、乾燥、下痢、便秘などの症状を併発する場合は、内分泌内科に相談してみましょう。
婦人科系の病気(卵巣のう腫など)
卵巣や子宮、乳房などに何らかの疾患があり、ホルモンのバランスが崩れることで、脱毛の症状が起こることがあります。
婦人科系の疾患がある場合のサインは、月経不順や身体の冷え、イライラなど。これらのサインを見逃さず受診し、身体の状態を確かめていくことが大切です。
鉄欠乏性貧血
貧血の症状が出る前によく起こるのが、薄毛の症状です。赤血球の成分のひとつである「ヘモグロビン」は、身体中に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。しかし、鉄(ヘム)が不足するとヘモグロビンが作れず、身体全体が酸素不足の状態に。
そこで、息切れや動悸、顔色の悪さや頭痛、疲れやすさ、抜け毛といった症状が現れるのです。鉄欠乏性貧血は、月経で出血が多い女性やスポーツをしている女性にとって特にリスクが高い疾患だと言えます。
鉄欠乏性貧血が疑われる場合は、まず内科で血液検査を行ってください。
抜け毛がひどい場合は早めに病院で受診しよう」
脱毛の原因には、さまざまな要因が絡んでいます。
まずは、生活習慣や食事内容を改善し、運動を心がけるなどして、血流を促進させ、ストレスを発散させましょう。それでも抜け毛がとまらなかったり、急激に抜けたりするといった場合は、自力で治すことは難しいはずです。
さまざまな症状を考え合わせて、早めに受診することをおすすめします。最近では、プライバシーに配慮した診療を行う医院も増えています。女性専用の毛髪外来などもありますので、まずは相談しやすい医院を選んでいきましょう。受診することで、症状の悪化を防いだり、ストレスを軽減したりすることにつながるかもしれません。